聞くだけでわかる国際経済 日本のスマホはなぜダメなのか?

 

聞くだけでわかる国際経済です。
FXにはすぐに直接関わってきませんが
年単位で見ればFXに影響を与えてきそうな事柄を
述べていきたいと思います。

 

音声だけで完結するように作って行きますので
通勤や家事のお供に聞いていただければと思います。

さて今回は第1回目ですので
日本の産業のことから始めたいと思います。

 

残念なことに全般的に日本の産業は下り坂ですが
その中でも特に目立っているのが
精密機械工業の衰退です。

 

同じアジアでも中国や韓国は
スマートフォンで大きな利益を上げているのに
なぜ日本のスマホ製造は死滅したのでしょうか?

 

 

 

ちなみに、こういう物の言い方をすると
中国や韓国をほめて日本のメーカーをけなすとは
ケシカランというタカ派的な発言をする方が
たまにいらっしゃいますが
それとこれとは別問題で
現実に日本のスマホメーカーが2019年現在
世界で全く相手にされていないのは事実です。

 

 

その原因を調べて乗り越えようとするのが本当の狙いであって
これは軍事的な問題などでも言えることですが
中国やロシアや北朝鮮に軍事的に圧迫されて
ケシカランと怒ってみたところで全く問題は解決しません。

 

 

スマートフォンの世界的なシェアにしろ
国境の境界線の問題にしろ
なぜ日本が受け身に回ってしまって
不利益を享受しているのか
この辺りは冷徹に原因を分析して
対抗措置をとっていかなければなりません。

 

前置きが長くなってしまいますが
皆様ご存知の、孫子の名言である
「敵を知り、己を知れば、百戦してあやうからず」
という言葉の通り
経済競争においてもFXにおいても
相手と自分の弱点をよくよく直視した上で作戦を立てれば
常に勝ち続けることができます。

 

 

FXというのも
戦っている相手はマーケットではなく人間対人間ですから
戦争における教訓がズバリと当てはまることがよくあります。

 

株式市場やコモディティ市場も人間同士の戦いの一面もありますが
株式市場の場合は全世界的に好況ならば
参加者全員がハッピーになれますし
原油や穀物のコストが下がれば
生活が豊かになる人たちも大勢出てきます。

 

こういったものと比べると為替取引というのは
ズバリ情報と数字の奪い合いで
誰かがが生き残るためには、確実に誰かが死にます。
そういう意味ではFXというのは100%の情報戦争なのです。

 

そしてスマートフォンのシェアというのも
経済競争である以上に情報戦争です。

 

2018年頃から、中国のメーカーが
出荷前のスマートフォンにバックドアを仕掛けていることが明らかになり
大きな騒ぎになったことは記憶に新しいと思います。

 

中国の場合は国家戦略でスマートフォンのシェアを拡大して
世界中からビッグデータや国家機密を集めるという意図がありますから
利益も重要でしょうが
一番重要なのは世界中の個人データや国家データを把握することですから
そんなシビアな組織を相手に
純粋に利潤を追求している日本のメーカーが
中国のスマートフォンメーカーに太刀打ちできるはずがないというのが
常識的な感想です。

 

 

中国はなぜそんなに必死になってデータを集めるかというと
現状では世界のデータはほとんどすべてをアメリカが握っているからです。
地理や人口動態を中心として
グーグル社は神様のように何でも知っていますし
AIのパターン認識を増やすことによって
本物の神様にもどんどん近づきつつあります。

 

 

そう遠くない将来に
アメリカはAIの技術を使って、軍事的な手段を使うことなく
中国政府を転覆させることができるようになるのではないかと
中国共産党は危惧しているようです。

 

まあ転覆などさせずとも
中国の政治体制は明らかに古くて非民主的ですから
近いうちに格好だけでも選挙制度を取り入れることになると思いますが
よその国から民主主義を押し付けられる形になると

古くはルーマニア・イラクなど、最近ならリビアのカダフィ大佐のように
その時点での支配者はほとんどが死刑になっていますので

ロシアや南アフリカ共和国のように形だけでも
権力を平和裡に禅譲して、死人が大勢出るような形の権力移譲だけは
避けたいというのが本音でしょう。

 

 

韓国というのも民主国家の割には
権力の移動が起きると必ず血しぶきが飛ぶ国です。
過去の大統領は全てが暗殺されたり、変死したり、刑務所に入れられたり
後任の権力者から復讐に近い扱いを受けて非業の最期を遂げています。

 

日本と韓国は文化的にも似通っていて
産業構造なども近い部分が多いのですが
こと情報機器産業のことになると国家ぐるみで力を入れています。

 

権力の座から落ちると
殺されるか刑務所に入れられるかされる韓国と比べると
日本の権力交代は牧歌的と言うかぬるま湯と言うか
現役の大臣が電子メールを使ったことがないと言い出すくらいですから
政治家たちがIT経由の情報に対して無頓着です。

 

 

ここまでは相手の強さに対する分析です。
つまり、アメリカや中国や韓国が何故スマートフォンの製造で
日本よりもとても強い理由の検証でした。

 

前半をざっとまとめると
アメリカも中国も韓国も、権力者が権力強化のための情報を求めています。
もちろんスマートフォンという工業製品が
利益率が高くてマーケットが大きいことも理由ですが
個人や企業の隠された情報を盗み取るためには
現状ではスマートフォンが最も手っ取り早いため
国家的プロジェクトになりやすいのです。

 

 

 

さて、では後半では
ガラケー時代にほぼ死にかけていた日本のメーカーが
スマートフォン時代になっていよいよ本当に死んでしまった理由を
突き詰めていきたいと思います。

 

 

まず、日本製のスマートフォンも国内ではそれなりに
需要があると思われるかもしれませんが
日本は、お米以外はほとんど取れない無資源国ですから
工業品を輸出しなかったら国は潰れます。

 

アメリカや東南アジアに行ってみればわかりますが
今のところはまだトヨタやホンダが一方的に優位を誇っていますので
原油や小麦などを、外国から色々と仕入れるための米ドルを調達できていますし
一次産品の輸入が苦しくなるほどの円安が進むこともありません。

 

しかし工業製品というのは、数をたくさん作れば作るほど
原価が下がりノウハウも蓄積しやすくなり
企業活動で優位に立つことが出来ますから
世界中で売れている、アメリカ製・中国製・韓国製のスマートフォンと比べると
あらゆる意味で決定的に不利ですから
今のままなら順番に潰れて行くに決まっています。

 

トランジスタや半導体から始まってウォークマンあたりまでは
日本の精密機械工業は無敵でした。

 

それがどうしてこんなにボロボロになってしまったかと言うと
一番直接的な原因は、メーカーの経営者の国際感覚が無能で
途上国の経済発展に合わせた商品開発戦略を怠って
無意味に付加価値の高い商品ばかりを狙って作った結果

途上国で全く売れないのはもちろんのこと
日本の国内ですら高付加価値商品と言うと
アップル製品を指すことが常識になってしまい
進むことも引くこともできなくなってしまいました。

 

 

スマートフォンのシェアでで日本が大敗北したのは
単刀直入に言うと競争相手をなめきっていたからです。

 

ガラパゴス化などという言葉でも表現されますが
競争相手を研究して敵を超えるものを作ろうという
努力をしてきませんでしたから
韓国や中国が携帯電話の技術で日本に追いついてきた時に
あっという間にシェアを全て奪われました。

 

トヨタやホンダの製品は、価格が高くても
耐久性の信頼度やメンテナンスのしやすさで
2020年が近づいてきた今でも売れ行きが安定していますが

 

スマートフォンのメーカーの技術は2010年頃の段階で
アップルのアイフォンだけが突き抜けていて
日本製のスマートフォンには特別な優位性はありませんでした。

 

 

特別な製品としての魅力が特にないのに価格が高ければ
当然誰も買いませんので国際的なシェアがなくなったわけです。

 

スマートフォンの黎明期だった頃
日本のメーカーはアジア市場をバカにしきったような
格好の悪いスマートフォンばかり作っていましたが

それよりももっと重大で根本的な問題は

ライバルの国たちがメーカー群を水平に統合したり
スマホに関しては製造を一本化して真剣勝負に臨んでいた時に

日本の電子機器メーカーは、企業ごとにスマートフォン製造部門を乱立させて
社運をかけて集中すべきスマートフォン製造事業に片手間で取り組み
付加価値の低い大型ディスプレイ事業に大金を投じるという
致命的な失敗を次から次へとやらかしました。

 

 

アメリカと韓国は、スマートフォン事業に関してほぼ一本化していますから
部品の製造も資材の調達も大規模に高効率で行うことができます。

 

 

アップルのアイフォンの場合は
高付加価値を求めるユーザーに徹底的に照準を合わせて
利益率を大きくとる戦略でシェアを確保しています。
どんな途上国でも富裕層というのは必ず存在しますから
セレブならアイフォンを使うのが常識という
国際基準を作ることに成功しました。

 

 

サムスンの場合はアップルとは正反対に
ハイエンドからエントリーまで多様な商品を揃え
通常なら民間企業では交渉できないような
ハードな販売計画の売り込みに、政府首脳を使ったりして
国家全体でシェア拡大に邁進してきました。

 

 

中国の場合は企業の活動を一本に絞るということはしませんでしたが
そもそも中国の企業は出発点が国営企業ですから
統合するまでもなく、労務管理や部品のプロトコルなどは
最初から一致している場合も多いので
日本のメーカーのようにただ漫然と乱立して
それぞれの企業が好き勝手に製品を作っている状況とは違います。

 

日本の大企業の場合は
材料調達から製造、そして販売まで一つの流れで行うので
部品や製造工程などはメーカーごとに決められていて横の連携はありません。

 

ですから例えば、日本では大メーカーのためにネジを作っている
下請けメーカーがあったとしたら
大メーカー毎に違った大きさのネジを
違った製造工程で作るという面倒なことをしています。

 

 

しかし中国のメーカーの場合は
どこの製品メーカーも、同じような部品を使っていますので
製造工程の種類は少なくて済みますし
使いまわすことができる場合も多いので
部品メーカーの経営も楽ですし、納期も短くて済むのです。

 

 

日本のメーカーのように縦割りで
大企業ごとのルールで製品製造をすることを垂直統合といい
中国のメーカーのように横割りで
ネジやメモリーなどの部品ごとに
規格が決まっているものを水平統合と言います。

 

 

もちろん現在のように
製品の販売名がグローバルになり
IOTによって部品の調達もプロトコル化してくると
大量生産の製造は水平統合で行った方が圧倒的に有利です。

 

 

アメリカと中国と韓国は、それぞれの国が
己をよく研究してスマートフォン事業に参入してきましたが
日本だけが何も考えずに片手間で取り込みました。
そしてその結果、跡形もなく大惨敗しました。

 

 

冒頭でFXと戦争の類似点について申し上げましたが
このスマートフォン事業における日本メーカーの失敗も
太平洋戦争や日中戦争の旧日本軍の敗北にそっくりです。

大まかな戦略もなく、戦いに突っ込んで行き
細かい作戦も無いので、ゼロになるまで延々と敗北を続ける。

 

このコンテンツは経済の現実を知るためのものであって
議論や政治的主張が目的ではありませんから
解決策などに触れることは控えておきますが
ここまで述べてきましたように
個人的には2019年現在で、日本国内のスマートフォン製造事業というのは
かなりの低効率で将来性の厳しい産業だと思われます。

 

 

皆様はどうお感じになられたでしょうか?